議会活動・活動報告バックナンバー

[2008年7月号]

(仮称)誰もが暮らしやすい千葉県づくり条例の制定について

障害者条例について
 障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例、いわゆる障害者条例が激しい議論の末制定をされて早や2年近く、施行されて1年になります。しかしながら、これに追随する都道府県が一つもないということはどういうことでしょうか。障害者条例が、知事が千葉の奇跡と発言するほど本当に必要な条例であるならば、他の都道府県もこぞって、場合によっては政令指定都市も含めて、同様の条例を制定するはずです。障害者差別があるとするならば、そして実際あるわけですが、三番瀬や成田空港のように千葉県特有の問題ではなく、また、千葉県が取り立てて多いわけではなく全国共通の問題だからです。北海道と岩手県で検討しているとも言われますが、未だ制定に至っておりません。

 昨年の12月議会でわが党の議員からも指摘がありましたが、知事が千葉の奇跡と自画自賛された障害者条例、真に優れた条例であるならば、たとえ240万円とはいえ、県民のためにこそ使うべき貴重な血税を、使ってまで中央公論に掲載しなくても、出版社のほうから、原稿依頼があり、知事の懐には、逆に幾ばくかの原稿料が入ったはずであります。条例案に賛成した私どもが、こういうことを言うのもなんですが、どうしても必要な条例ではなかったのではないか、まあ、無いよりは有った方がましだという程度のものでしかなかったのではないかという気がしてなりません。

ユニバーサル社会について
 世の中は日々進歩致しております。進歩しているのは科学技術だけではありません。考え方や制度も進歩しております。国会では、与党の自民党と公明党中心にユニバーサル社会基本法の制定を目指して準備が進められており、自民党内にも、ユニバーサル社会推進議員連盟が結成され活動しております。

 ユニバーサル社会とは、障害の有無、性別、年齢などにかかわらず、誰もが個性、能力を生かせる社会、暮らしやすい社会をいいます。誰でも使いやすいユニバーサルデザインの理念を社会全体に拡大したものと言われます。我が国の少子高齢化は、今後ますます加速することが予測され、ユニバーサル社会の形成は喫緊の課題となっております。

 理不尽な理由による不当な扱いや差別を無くしていかなくてはならないのは、障害者に対してだけではありません。憲法14条の文言を借りるならば、人種、信条、性別、社会的身分、門地その他不合理な差別はすべて禁止していかなくてはならないのです。にもかかわらず、障害者条例によって救済されるのは、障害者だけであり、年齢や性別、生れ等による差別に苦しむ人々は県条例によっては救われません。何故、障害者だけが救済され、他は県条例の対象外とされるのでしょうか。これでは差別される者の中に、新たに差別をつくるものと言わざるを得ません。

誰もが暮らしやすい千葉県づくり条例について
 解決法として、個別条例、例えば高齢者差別禁止条例を制定することは可能ですが、時代の進展とともに、次々と新たな差別が生じすべてを網羅することは到底不可能です。したがって、一括して不合理な差別を禁止する条例が是非とも必要であると考えます。

 知事は、ブレーメン型地域社会をめざしているとのこと。快適に移動ができ、お互いに助け合って情報を共有し、できるだけ今ある資源を生かしながら暮らせるまち。子供、若者、夫婦、単身者、高齢者、障害者等誰でも自らの希望する地域で、みんなが協力し合いながら生活できる社会とのことですが、私たちが目指すユニバーサル社会と、言葉こそ違え、同じ内容であると考えますが、障害者以外の人達も、理不尽な理由でつらく悲しい思いをすることの無いような社会をつくり上げていかなければならないはずです。

 私は、個人の尊厳・人格の尊重ということ、すなわち全ての千葉県民が一人一人人間としてかけがえのない価値があり大切にされる社会、千葉県でなければならないと考えております。したがって、障害者条例に替えて、(仮称)誰もが暮らしやすい千葉県づくり条例、(通称)ユニバーサル条例を他県に先駆けて制定すべきであると考えます。今後、その必要性を議会の内外で訴えて参りたいと思います。皆様の御理解と御支援をよろしくお願い申し上げます。