議会活動・活動報告バックナンバー

[2008年9月号]

放置竹林対策について

 今日、日本各地で放置竹林の拡大が問題となっております。これまで竹林は、食用となるタケノコの生産はもとより、生活用具、農具、建材などの材料としてなど、様々な用途に利用されることで適正に管理されてきました。

 しかしながら、安価な竹材やタケノコの輸入、プラスチック製品などの代替品の普及により、竹林の利用が減少し次第に放置されるようになりました。

 放置された竹林は、過密化して荒廃するとともに周囲の森林や農地に拡大するため、森林の公益的機能の低下や里山の景観が損なわれるなど、県下各地で地域の生活環境への悪影響が懸念されております。

 また、竹林は昔から土砂災害に強いと言われておりますが、実は、竹の根っこは地下数十センチの浅いところに平面上に伸びるため、急傾斜地などで竹林が放置され拡大すると逆に地滑りなどの危険性が増すおそれがあるとされております。

 千葉県の竹林は、平成18年千葉県森林業統計書によれば、2007年時点で6,135ヘクタールとなっておりますが、森林への竹林の侵入・拡大が十分に把握されていないため、実際はもっと多いと思われます。

 一説によると、地形や地質、土壌によって差はあるものの、竹林は適正に管理されないと年間大体1メートルから3メートル、外側に向かって拡大し、仮に半径10メートルの竹林を想定すればその面積は314平方メートルです。年間2メートル拡大するとして、1年後には約380平方メートルとなり元の1.2倍の面積となり、あくまで単純計算にすぎませんが10年後には元の4倍の面積になると言われております。

 その一方で、有効な竹の駆除方法は残念ながら今のところ確立しておりません。農薬を使用したり、あるいは、3年間に渡ってすべて刈り取ってしまう作業をして、やっと何とか駆除できるということで、その対策にかかる手間と費用は膨大なものとなります。

 加えて、放置竹林の多くが個人所有であるがための対応の難しさがあることも理解できます。

 しかしながら、現状を放置すれば竹林の高密度化が一層進み、本県の里山が取り返しのつかない荒れ果てた様相となることは必至と思われます。

 本県では、平成15年に「千葉県里山の保全、整備及び活用の促進に関する条例」を制定し、現在まで様々な施策を展開されていることと思いますが、竹林放置は待ったなしの状況です。

 できるだけ早く対応することが里山を保全する上で大切であり、長期的には労力やコストの削減につながると思われます。また、放置林対策の一環としての「竹材の有効利用」にむけた取り組みも必要と考えます。