米の生産調整について
我が国の主食である米の消費量は、一貫して減少傾向にあり、需給不均衡による米価下落を抑えるため、水田の約4割で生産調整が強いられていることは、ご存知のとおりです。
世界的に食料需給が逼迫するなか、今後、生産調整の実効性を確保しながらも、水田を有効活用し、いかに食料自給率を高めていくかが、農政の重要課題と考えます。
これらの状況を踏まえ、政府・与党が8月下旬にまとめた「安心実現のための緊急総合対策」には、自給率50%を目指した行程表の作成が 、盛り込まれています。
また、先に公表された農林水産省の21年度予算の概算要求では、飼料用米や米粉を戦略物資として位置づけ、その拡大に対する支援策が示されました。
畜産が盛んな本県にとって、水田を水田として活用できる飼料用米生産に対し、国が本格的な支援に乗り出したことは、非常に心強いばかりです。
すでに本県では、飼料用米の作付け拡大に向け、飼料高騰に苦しむ畜産農家との連携のもと、県単独の助成措置を講じるなどの施策を推進しています。
今後、農林水産省の新たな支援策等を受け、飼料用米や米粉などの生産拡大に対し、一層の取り組み強化が期待されるところです。
しかし、飼料用米については、取引価格が1kg当たり40円程度と安く、農家の収入を確保するためには、収穫量を上げることが絶対条件となっています。
このため、品種特性として、10アール当たりの収穫量が800kgから1t程度の多収性が大前提であり、その他に、病害虫に強いこと、倒れにくいこと、低コスト生産が可能なことなどが求められています。
一方、米粉については、一部の学校給食や直売所などでの利用にとどまっていましたが、小麦の値上がりが続く中、その代替として大手食品加工メーカー等の関心も高く、今後、市場の拡大が予想されています。したがって、今こそ、米粉の利用拡大に一層の弾みをつけることが大切と考えます。
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