議会活動・活動報告バックナンバー

[2012年9月号]

生活保護制度の見直しを

 市民からの声として今最も多いのが、生活保護制度に関する不満です。支給額が多すぎるのではないか。不正に貰っている人がいる。若い人には、市の仕事をさせるべきではないか、等々です。

 麻生政権時の年越し派遣村の騒動以降、特に民主党政権になってからの国レベルの生活保護の伸び率は急激で、今年の当初予算ベースで3兆7千億円の生活保護費が組まれています。これは、国の総税収額約40兆円の1割近くになります。日本の現在の防衛費は、4兆円台半ばですから、間もなく生活保護費が防衛費を抜く勢いです。

 そこで、野田内閣は、8月、来年度予算の概算要求基準を閣議決定しましたが、生活保護などの見直し(削減)で全体の伸びを極力抑える方針を示した。既に厚生労働省は給付水準や受給資格の見直しを検討しているとも言われます。

 生活保護は、他に生きる方法がないときの最後のセーフティネットです。本当に必要な方には、本当に必要な額だけ支給されなくては制度を設けた意味がなくなります。今、一番問題なのは、若くて働けるのに雇用の悪化によって仕事を失い生活保護を受けている人たちの事です。この場合、はたして生活保護という形で税金を使うべきなのかもっと考える必要があります。市民の方からも、元気で働ける人、稼働能力のある人には、道路の雑草取りやゴミ拾いをさせるべきだという声が多い。私も同感です。

 憲法学者の中には、生活保護と引き換えに仕事をさせるのは、憲法18条で禁止している「その意に反する苦役」(つらく苦しい労働)に該当し違憲だという意見もあります。しかし、判例があるわけではありません。そもそも草取りやゴミ拾いが苦役と言えるでしょうか。働いて税金を納めている人の中には、いわゆる3K(さんけい)、きつい、汚い、危険と言われる職業に携わっている方も大勢います。草取りやゴミ拾いは1K(いちけい)にもなりません。その意に反するから市の仕事ができないというのであれば、子供が勉強を嫌いだから、学校へ行かなくてもいいということと同じ、我がまま以外の何物でもありません。

 そこで、65歳未満の稼働能力のある人が保護費を受給するには、例えば、週4日市の仕事をし、1日はハローワークに通うことを条件とすべきではないか。もしくは、稼働能力のある方には、安易に保護費を支給せず、就職が決まるまで、市の仕事をしてもらい給料を受け取るようにすべきではないか。市の仕事の中には、雑草取りやゴミ拾いの他にも、違法駐輪の指導や駐輪場の管理など、苦役と言えないような仕事がいくつもあります。ただ保護費を受け取るだけでは、勤労意欲が失われていくといわれます。市の仕事をしてもらえば、勤労意欲が失われず、しかも社会の役に立つわけですから税金の有効活用にもなります。

戻る