議会活動・活動報告バックナンバー

[2013年1月号]

早めに初産を

 皆さん、卵子が老化するということをご存知でしょうか。6月23日に放送されたNHKスペシャル「卵子老化の衝撃」をご覧になった方もいらっしゃると思います。高齢出産とは、35歳以上での出産を言いますが、高齢出産の増加に歯止めがかからない。厚生労働省が6月に発表した昨年の人口動態統計によれば、初産時の母親の平均年齢は30.1歳と初めて30歳を突破。35歳以上の出産も依然として増加傾向にあるとのこと。女性の高学歴化や社会進出、晩婚化の進行に伴い今後ますます増加が予測されるが、多くのリスクを伴うのも事実です。

 40歳で妊娠した女性の流産率は全体の50%以上。生まれてきた子供がダウン症になる確率は約100分の1になる。ちなみに、25歳では1200分の1であり、実に12倍の開きがある。

 なぜ、高齢出産のリスクがこれほど高いのか。女性が高齢になると、卵子も急速に老化していくからと言われます。卵子は、女性が胎児のときに一生分作られます。ですから、卵子が卵巣の中にある期間が長くなるほど、遺伝を司る染色体やDNAもダメージが蓄積され、細胞分裂の力も低下してしまう。

 全国の不妊治療専門医を訪れた30代、40代の女性が、妊娠の可能性が低いと告げられショックを受けている。主な原因は「卵子の老化」。35歳の女性が出産できる可能性は、20歳代の半分になるということ。ましてや、40歳代ならばもっと可能性は、低くなります。先月、タレントの坂上みきさん(53歳)が不妊治療の末無事出産されましたが、極めて稀な例と言わなければなりません。

 もっと若い時から、正しい知識があったらと悔やむ女性や夫婦の声が後を絶ちません。妊娠、出産を考慮してこなかった社会にも問題があると指摘していました。晩婚と高齢出産は、先進国共通の課題です。フランスでは、教科書やパンフレットなどでしっかりと教えているとのこと。フランスの出生率が回復してきているのも、こういうことも一因であるといわれます。

 子供を産みたいのに産めない。そういう悲劇を少しでも減らすために、社会全体で支える仕組みが必要です。正しい知識がないため、妊娠が遅れ子供ができなくなったということがないようにしなければなりません。千葉県は、昨年戦後初めて人口が減少しました。東日本大震災による液状化や福島第一原発事故を受け、本県への転居をためらったことが主な原因とみられますが、日本全体で進む少子化にも一因があると考えます。

 年をとっても女性の卵子は変化しない、閉経するまで妊娠できると誤解している人が多いのです。人間には、自ずと生理的にタイムリミットがあります。その時後悔しないために、できるだけ早い段階で、正しい基礎知識を身に付けさせていただきたい。県民に対して、高齢出産のリスクを教え、できるだけ早く初産を迎えるように啓発すべきではないか。高校生に対しても、高齢出産のリスクを教え、早期に初産を迎えるような指導をすべきだと考えます。

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