議会活動・活動報告バックナンバー

[2017年1月号]

市の給与指数に誤魔化し

 広報ふなばし12月1日号に、給与水準を国や他の市町村と比較する際の一つの指数である「ラスパイレス指数(※)」が、100.1、県内54市町村の中で26位と目立つように薄緑色で書いてあります。20年度は105.2で全国1位でしたが、今は国家公務員と同程度で高くないですよ、県内市町村の中位ですよ、と言いたいのかもしれません。私などが、市や県の給与が高すぎると批判してきましたから。
 27年度を見る限りその通りですが、直近の24年度は110.6、25年度は110.2と異常に高かったことには触れていません。市の指数は、23年度は102.8と、もともと高かった上に、野田内閣時代、東日本大震災の復興財源を捻出するためとして、国家公務員の給与が2年間7.8%減額になったからです。千葉県を含む74%の自治体が国の要請に協力して、1年前後7.8%程度削減したのに船橋市は削減しなかったのです。
 国家公務員と給与が同程度ですよと言うのなら、24年度と25年度を国同様に削減するか、26年度と27年度の指数を10%削減して90にしなければ、市の職員は国家公務員よりも多くもらい過ぎということになります。ですから、4年前の市長選挙で私は、職員給与の10%削減を公約で訴えたのです。
 当局に都合の良いデータは公表するが、不利な情報は表に出さない、隠蔽するというのでは、市の発表データを信用できなくなってしまいます。市民の判断を誤らせるものであり、「由(よ)らしむべし知らしむべからず」という役人的発想であり、公僕とは到底言えません。
 26年度は101.2でしたので、4年間の平均では105.5となり、県内順位ももっと上位になります。

※ラスパイレス指数とは、国家公務員の給料月額を100とした場合の地方公務員の給料水準を示す指数。経験年数と学歴を考慮し算出

 

職員給与と議員報酬の増額反対討論(12月20日)

  議案第6号と議案第7号の反対討論をさせていただきます。
  2月議会で議員報酬の増額には、民主党や共産党等も反対しましたが、職員給与の増額には、自民党から共産党まで全会派が賛成。両案に反対したのは、私一人でした。一瞬私は間違っているのかと思いましたが、 民主党は7年前の総選挙で、マニュフェストに国家公務員総人件費2割削減を掲げていたはずですし、2年前の衆院選でも、維新の党も掲げていました。今年の参院選でも大阪維新の会も同様です。
 一昨年は子供たちの実に6人に1人が貧困生活を余儀なくされているということで、大変胸を痛めたわけですが、昨年は、それどころか単身女性の3人に1人が、また母子家庭の2世帯に1世帯が貧困生活を余儀なくされているということが明らかとなっています。
  そして、今年知ったのですが、高齢者世帯の4割が生活保護基準よりも低い収入で暮らし、老後破産状態にある。そのうえ、年金が削減され、70歳以上の医療の負担も増えれば、5割の高齢者世帯が貧困状態に陥るのは、時間の問題です。また、15歳から34歳までの若者の3割が非正規雇用です。収入が少なすぎて結婚できない若者が多いから、人口が減少し、投資もできないという悪循環に陥っているのが今の日本ではありませんか。
 他方、公務員はどうでしょうか。昨年度2年連続して給与・ボーナスが上がったことで、公務員天国の復活という声も出ていると紹介しましたが、今年度も増額となれば公務員天国そのものです。本当にこれでよいのでしょうか。
 財務省は、2年前の財政制度審議会の財政制度分科会に提出した資料で、地方公務員、中でも地方の清掃職員、給食などの調理員、用務員などの給与が、民間に比べて1,5〜2倍も高いと指摘し、また、国家公務員の給料は地方公務員に比べて安いとして、地方公務員の給与には切り込むべきとしています。
 今年9月末、国税庁は、昨年の民間企業の平均給与を420万円と発表しました。一方、県職員の27年度の平均給与は県民だよりによれば、なんと711万円とのこと。相変わらず300万円近い開きがある。あまりにも官民格差がひどすぎます。
 その根本原因は、前にもふれましたが、人事院そして人事委員会の調査対象となる民間企業は、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所が対象で、しかも正社員の給与だけで、契約社員など非正規労働者は対象外だからです。民間の実態を正しく反映しているとは到底言えません。
 元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一さんも、「本来であれば、国税庁が調べている1人以上の事業所の給与実態のデータを基準に使うべきだ。国税調査を基に計算すれば、公務員給与は、本来は15%ほど減額しなければいけないことになる」と言っています。
 民間のように倒産やリストラもなく身分が保障されていうる上に、給与が高いのでは、公務員は優遇され過ぎと言わざるをえません。
 次に議員の報酬はどうでしょうか。日本の国会議員の年収は、約2200万円で、世界で一番高いと言われます。他の国と比較すると、2位アメリカ1357万円、3位ドイツ947万円なので、2位のアメリカに大差をつけて日本の国会議員は断トツの高給取りということになります。
 では国民1人当たりの所得は世界で何位でしょうか。インターネットで調べますと、34位、26位というのもありますが、世界保健統計2015によると、約448万円で、加盟国194カ国中、前年同様世界17位とのこと。いかに議員報酬と国民所得とがアンバランスであるかということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
 まさに、報酬を増やしたい国会議員と、給与を上げて欲しい公務員の代表である官僚とOBの人事官、公務員給与を守りたい官公労働組合、その労働組合の支援が欲しい革新諸政党が持ちつ持たれつ、お手盛り状態になっている。中小零細企業の従業員や非正規社員、自営業者、県民国民のことよりも、自分たち、議員や職員のことしか考えていないと言われても仕方ありません。
 小池東京都知事が、自らの政治姿勢として知事給与を半減しました。その結果、都議会議員のほうが252万円多い逆転現象が起き、都議会公明党から議員報酬を2割削減案が2月議会に提案されます。実現すれば、千葉県議の方が都議よりも140万円多くなってしまいます。
 かつて自民党の橋本龍太郎元首相は、「政治は弱者のためにある」と、よく語っておられました。その保守の良心、社会的弱者にも配慮した自由主義は、どこに行ってしまったのでしょうか。自民党のみなさん。昔、仁徳天皇は、民のかまどの煙が立っていないのを憂い、宮殿が荒れ果てても3年間年貢を免除して民の暮らしを豊かにすることを優先させたという逸話もあります。
 公明党の井上義久幹事長は、政治家の資質として必要なものはと問われて、実行力と他人の痛みが分かることと答えています。公明党のみなさんは、都議会同様人の痛みが分かっているのではないでしょうか。
 革新諸政党は、社会的弱者の力になりたいということが結党理由の一つであったはずです。正規職員の公務員は、バブルの前からとうに弱者ではありません。真の弱者はもっと他に大勢いるのではないでしょうか。民進党、共産党、市民ネット・社民・無所属のみなさん。
 政治の使命とは何か。国を守り治安を維持するだけではありません。全ての人に、全ての人に、人間らしい生活を保障するところにあります。一人でも多くの方に幸せになっていただくために政治があります。
 多くの子供たちが、若者が、単身女性が、一人親家庭が、そして高齢者が貧困に喘ぎ悩み苦しんでいるのに、一部の富める者と議員などの特別職を含む公務員だけがぬくぬくと暮らす、そんな社会であって良いはずがありません。
 高すぎる公務員給与と議員報酬を削減し、官民格差を是正して捻出される財源を福祉の充実や子育て支援等に充てるべきです。
因って、私は両議案に反対致します。

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